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感応が開く世界

 今年はいつまでも寒い日が続きました。そのおかげで桜にあわせて花々が一斉に咲きだし、春が一度にやってきたようなにぎやかさです。大学の入り口にあるシャクナゲも大輪の花をつけました。
  新入生のみなさん、学生生活や授業のペースがつかめたでしょうか。なかには、こんなはずではなかったと思っている方もいるかもしれません。悩みは、ひとり で抱えこんでいても、なかなか解決できるものではありません。だれかに聞いてもらったり、相談するだけで、ずいぶん楽になるものです。遠慮なく、基礎ゼミ の先生に声をかけてみたらどうでしょう。また、学生相談室をのぞいてみるのもいいでしょう。
 ところで、在学生や卒業生のみなさんはよくご存知ですが、本学園の歴史は昭和2年に設立された感応幼稚園からはじまります。なぜ感応という名前がついているのでしょうか。
 この感応という言葉は、学園の創立者の冨田先生がおつけになられたものです。冨田先生によれば、宇宙を構成する鉱物、植物、動物はみな心と物の両面をそなえ ています。こうした宇宙は、物体のどんな小さな動きでも、知らず知らずのうちに、感じあっているそうです。これを感応といい、この感応する心が豊かであれ ばあるほど、人びとは、生きとし生けるものの痛みを知り、慈悲の心を育むことになります。この発芽を大切に見守っていこうというのが、感応幼稚園と命名し た理由である、と創立者は述べておられます。
 先日の「宝仙の歴史」の授業でも述べましたが、この感応という言葉は、「感じ合う」こと、すなわち「sympathy共感」と「response 反応・応答」という二つの要素から成り立っていると考えることもできます。
 共感は、言語をこえた力、非言語的コミュニケーションという側面ももっています。豊かな心の育成とならんで、本学が力をいれている音楽や、演劇、身体表現、 美術、課外プログラムも、共感する力を養うためのものです。そう考えると、こうしたカリキュラムの意味が一段と深いものに思えてこないでしょうか。
  共感する力とならんで、もうひとつ大事なのが応答です。こどもたちと感じ合うためには、感じていること、感じたことを、相手に伝えるコミュニケーション能力が必要になります。こどもの発した言葉を、ただオウム返しにくりかえすだけでなく、自分の気持や考えをわかりやすく、明晰に伝えることも大切です。
 こどもは、試行錯誤をくりかえしながら、自分で考え、言葉を獲得していきます。こどもの考える力をひきだしていくためには、われわれもまた言語能力を高め、柔軟な思考力を身につけていくことが必要になってきます。
 相手があって自分もある。感応という言葉は、幼児の教育や保育にとっては、示唆に富む、新しい世界を開いてくれるキーワードではないでしょうか。 
(2013年4月30日)

大学正門前のシャクナゲ, 2013年4月16日撮影

(大学正門前のシャクナゲ、2013年4月16日撮影)

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