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平成29年度学位記授与式 学長式辞(要約)

東京では桜も咲きはじめました。今日の良き日、こども教育宝仙大学は、第6回目の卒業生をめでたく社会に送り出すことになりました。

卒業生のみなさん。ご卒業おめでとうございます。

ことしの冬は寒い日が続きました。聞くところによると、地球温暖化によって、北極の氷がとけて、大気の流れが変化したことも影響しているようです。地球の気温が上昇しているのに、日本の冬が寒くなるというのは、ちょっと逆のように響きます。しかし、わたくしたちは、昨日までの常識が通用しなくなる時代に足を踏み入れていることだけは確かなようです。

保育の現場でもいまや、いろいろな国からの子どもや保護者の姿がめずらしくなくなりました。そろそろ日本でも、これまでの保育とはちがうものが求められてくるかもしれません。

日本にきた外国人がおどろくことは二つあるそうです。ひとつは、深夜の交差点で、車も通らないのに、赤信号が変わるのをじっと待っている日本人の様子だそうです。日本人はこんなにルールを守り、秩序正しいのかと驚くようです。なかには、日本人はちょっと杓子定規で、従順すぎて、自分というものがないのだろうかと感じるひともいるようです。

もうひとつは新宿などでよく経験することですが、横断歩道で歩行者が渡りきる前に、車が殺到してくることだそうです。オーストラリア研修から帰国した本学の学生たちも、向こうでは日本とちがって、横断歩道に人影がみえると車は停まってくれたと感激していました。

日本人は深夜の赤信号は守るのに、横断歩道の一時停止はなぜおろそかにしてしまうのでしょうか。ヒントは日本の文化にあるかもしれません。

先ほどのオーストラリアで保育研修をしてきたみなさんによると、オーストラリアでは個人の権利が大事にされていて、保育の現場でも子どもは大人と同じように尊重されていたと驚いていました。たとえば食事にしても、園児は自分の好きなものを食べ、残してもよいそうです。さらに日本のように、みんなが一斉に食事をはじめ、一斉に終わるというものではないとのことでした。どちらにもメリットとデメリットがあるといっていましたが、日本の保育文化は、集団としてのまとまりや、効率性のほうを重視する傾向が強いとも感じたようです。

みなさんは、これまでの常識が通用しなくなる時代に生きなくてはなりません。思いもかけない状況や、理不尽なことにも直面することも、きっとあるでしょう。規律と個性のあいだで悩むこともあるでしょう。

しかし、こどもひとりひとりを人間として尊重すること。これは保育の原点でもあります。また命は平等で、ひとり人ひとりの命を大事にするという仏教の考え方にも通じるものでもあります。昨日までの常識が通用しなくなる時代だからこそ、こどもひとりひとりを人間として尊重することを、大事にしていってほしいと願っています。

ちなみに、わたしはなにかあると、歌手の島倉千代子さんと歌人の金子みすゞさんの歌をアレンジして作った文句を唱えることにしています。

「人生いろいろ、子どももいろいろ、みんなちがって、みんないい」

卒業とは、開かれた終りです。本学の扉は卒業とともに閉ざされるのではなく、卒業生のみなさんにはいつでも開かれています。困ったときはもちろんのこと、気が向いたときには、本学を訪れてください。後輩たちも、先輩の体験や情報を心待ちにしていると思います。

21世紀の未来は、みなさんにかかっています。ぜひ明るい未来を、そして伸びやかな未来を育てていってください。

では、いってらっしゃい。

これをもってわたくしの式辞といたします。

平成30年3月19日
こども教育宝仙大学長 山本 秀行

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