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トップ > ニュース一覧 > 南陽 慶子専任講師 研究紹介:遊びとこども

研究室だより
遊びとこども

みなさんの子どもの頃の楽しかった思い出は何ですか?本学に通う大学生にこの問いかけをしてみたところ、「保育園でのおにごっこ」「園でお店屋さんごっこをしたこと」「家族とディズニーランドへ行ったこと」「砂場で何かして遊んだこと」などの声が聞かれました。ちょっと特別で非日常的な体験を挙げた学生もいますが、多くの学生が、保育園・幼稚園での日常的な遊びの場面を挙げました。子ども時代の幸福な心象風景において、遊びが大きな位置を占めていることがわかります。
子どもにとって、遊びは学び——、多くの方が、このような言葉をどこかで見聞きしたことがあるのではないでしょうか。昔から、日本の保育園・幼稚園では、遊びを中心とした保育を目指してきました。そして、近年の国内外の研究結果から、遊びを中心とした保育が、子どもの発達や多様な学びに大きな効果をもたらすことが実証されつつあります。
遊びの重要性は、子どもの学びや能力の向上につながるからというだけではありません。子どもにとって、遊ぶことはもっと切実な問題でもあります。アメリカの心理学者Peter Grayによれば、この半世紀の間にアメリカをはじめとする先進国では、子どもたちの自由遊びが減少したことによって、うつ、自殺、無力感などのメンタルヘルスの問題が子どもや若年層において急増したそうです。人が生涯に渡って心身ともに健康で生きていくために、乳幼児期の遊びが不可欠であることがわかります。
子どもが保育園・幼稚園で過ごす時間や時期が増えている現代だからこそ、園での遊びの重要性がより高まっています。だからこそ、これからの保育者には、子どもの充実した遊びを支える力とともに、遊びを中心とした保育の重要性を、保護者に向けて正しく分かりやすく伝える力も求められていると言えるでしょう。
最後に、遊びにまつわる詩歌から、一つご紹介したいと思います。
遊びをせんとや生まれけむ
戯れせんとや生まれけん
遊ぶ子どもの声聞けば
わが身さへこそ揺るがるれ
『梁塵秘抄』
これは、平安時代末期に編まれた歌集の中の一編です。遊びをしようとしてこの世に生まれてきたのだろうか、戯れをしようとして生まれてきたのだろうか、夢中で遊んでいる子どもの声を聞くと、大人である私の身体まで自然と動き出しそうだ——この詩には、私たち人間の中にある遊びへの欲求と共感が描かれているように感じます。そして、大昔から、人々は遊びがもつ底知れない力に強く惹きつけられてきたことがうかがえます。人間にとって、遊びは幸せの源であるということが感じられるのではないでしょうか。
子どもが今この時を幸福に生きること、生涯に渡って生きる力の基礎を育むことを援助できる保育者を目指して、子どもにとって遊びとは何か、なぜ必要なのか、遊びのもつ力について、一緒に学んでいきませんか。
  専任講師 南陽 慶子
研究分野:保育学・幼児教育学

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