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2021年度学位記授与式 学長式辞

 卒業生の皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。4年間、授業、ゼミ、実習等に懸命に取り組み、人間力、判断力、実践力を身に付けられました。我々、こども教育宝仙大学の教職員一同、ご卒業を心からお喜び申し上げます。
 ご家族の皆様も、ご卒業を、心待ちにされていたことと思います。しっかりと成長され、門出を迎えられます。心からお祝いを申し上げます。本来であれば、ご臨席を賜りたいのですが、新型コロナウィルスの感染が未だ沈静化していない状況です。事情をご賢察の上、ライブ配信を通じ、晴れ姿を眺めていただければと思っております。
 ご来賓の皆様にも、残念ながら本日はご遠慮いただいております。そのため私から、表彰状や記念品を、代わって授与させていただきました。皆さん全員が入会される、卒業生の会「あかつき会」の先輩方や、日本仏教保育協会など関連団体の皆様は、在学中も支援し、卒業後も歓迎していただいています。仏教保育協会保姆養成所、宝仙学園短期大学から続く、90年の伝統と信頼のある本学ですので、自信をもって、保育業界や、それぞれが選ばれた道で、思い切ってご活躍いただきたいと思います。

 本年度の卒業生は、激動の4年間を過ごしました。1年生、2年生の間は、あこがれていた大学生活の中で、勉強、サークル活動などに、思う存分打ち込むことができました。ところが3年生になると、新型コロナウィルスが猛威を振るい、東京都における緊急事態措置は、3分の1の122日間、4年生では、緊急事態とまん延防止を合わせると232日間、3分の2が、措置が出されている期間となりました。入学時には考えられなかった異例の事態です。
 このような中、皆さんは、本当に良く頑張りました。我々は、オンラインによる遠隔授業と、対面授業を、感染状況に応じて、切り替えることで、授業を継続させていただきました。皆さんは、慣れない遠隔授業の中でも、懸命に学び続けてくれました。そして教育実習にも保育実習にも、時期の変更は余儀なくされたものの、希望者全員が参加できました。結果として、本年度の卒業生は、従来以上に、幼稚園教諭1種免許、保育士資格を取得することができました。そして、コロナ禍での就職活動も乗り越え、全員が希望する先に就職が決定しています。皆さんの継続してきた努力に心から敬意を表します。

 新型コロナウィルスも予期しなかった事態ですが、昨今は、ロシアによるウクライナへの軍事進攻という予期しなかった事態も発生しています。何の罪もない、ウクライナの多くの人々が、亡くなり、負傷し、国外に脱出されています。全く許しがたい行為であり、国際社会からも数多くの非難が浴びせられています。両国で停戦に向けた協議が続けられており、一刻も早く戦争が終わることを願うばかりです。ただ戦争が終わっても、尊い命は帰らず、取り返しがつきません。

 「てぶくろ」という絵本があります。ウクライナの民話を、もとにした絵本で、日本でもベストセラーの一つであり、ご存知の方もあるかと思います。
 あらすじをご紹介させていただきます。降りつづく雪の中、森を歩いていた、おじいさんが、片方の手袋を落としました。毛皮の暖かそうな手袋です。それを見つけたネズミが「ここで暮らすことにする」と言って中に入り込みました。次にカエルがやってきて「手袋に住んでいるのは誰、私も入れて」と言って手袋に入ってきました。それぞれに名前が付いていて、「食いしんぼネズミ」「ぴょんぴょんガエル」と言います。次に「早やあしウサギ」がやってきて「ぼくも入れてよ」「どうぞ」と入ってきました。その次は「おしゃれギツネ」です。「私も入れて」と入ってきました。4匹になり、手袋はだんだんと大きくなり、玄関ができ、ハシゴがかかり、窓も開き、家らしくなってきました。次は「はいいろオオカミ」です。「おれも入れてくれ」と言って入ってきました。その次は「きばもちイノシシ」です。「私も入れてくれ」「ちょっと無理じゃないですか」「入ってみせる」「それじゃどうぞ」ということで入ってきました。これで6匹。ぎゅうぎゅう詰めで、手袋は増々大きくなりました。そして「のっそりグマ」までやってきました。「満員です」「どうしても入る」「はじっこにして下さいよ」と言って入ってきました。全部で7匹です。7匹が小さな手袋の中で仲良く暮らし始めました。しばらくすると、手袋を落としたことに気づいた、おじいさんが、探しにやってきました。そこで、みんな森に帰っていった、というお話です。
 小さな手袋に、食いしんぼネズミから、のっそりグマまで、7匹が、どうして入るのだろう、みんな、仲が良さそうだな、助け合っているな、と想像力を働かされるストーリーであり、絵本だと思います。
 このような心温まる民話を生む、ウクライナに対し、世界一の面積を持つロシアが、軍事侵攻を続けているものです。映像を見るたびに、現実とは思えない悲惨さに胸を打たれます。ロシアの行為を断じて許すことはできません。
保育者になられる方は、「てぶくろ」のような絵本が理解できる、想像力豊かな、優しい、こども達を育てていただければと、心から願っています。

 コロナ禍は、まだ完全には収束していません。これからは、皆さんが、園児の健康と、育ちの両立を守る立場です。園児達は、皆さんを「先生」として信頼し、指導に従うことになるでしょう。コロナ対策を理解し、感染状況も把握して、園の方針を踏まえた上で、こども達の様子を注意深く見守って下さい。責任が重く大変な仕事ですが、先輩方と協力しながら、皆さんも最大限の努力をして下さい。一般企業に勤める方は、ウクライナ危機もあり、経済も不透明で、企業自体も先行きを模索している状況です。職場の方と協力して、状況を打開していく必要があります。社会の一員として、実体験の中で多くを学んで下さい。その積み重ねが皆さんを大きく成長させる、と確信しています。

 これからの人生、この様に予期せぬことが色々と起こり、いつも順風満帆(マンパン)ばかりではないと思います。そのような際も、前を見続け、何か打開策がないかを考え続けて下さい。時が解決してくれることも、状況が変わることも、誰かが解決してくれることもあります。大切なのは、決してあきらめないことです。

 そして、時々少し休んでみることも考えてみて下さい。そのような際は、本学や、先生方のことも思い出して下さい。いつでも本学を訪ねてみて下さい。大歓迎致します。

 こども教育宝仙大学は、皆さんにとって永遠の母校であり、教職員一同は、永遠の応援団です。

 それでは、皆さんのご健康と、益々のご活躍を、心から祈念し、学位記授与式の式辞とさせていただきます。

     令和4年3月19日       こども教育宝仙大学 学長 太田誠一

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