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研究室レター

国際バカロレアとこども

本多 舞准教授
専門
教育学

 皆さん、「国際バカロレア」という言葉を聞いたことがありますか?1968年にスイスのジュネーブで創設された国際バカロレア(以下IB)は、近年日本でも導入する学校が増えています。創設当初は、国を越えた大学入試制度を円滑にするための資格として考案され、日本では高校2-3年生対象のプログラムとして始まりました。その後、幼児教育から中等教育まで一貫したプログラムへと発展し、1997年に3歳-12歳を対象としたPYP(プライマリー・イヤーズ・プログラム)が作られました。
 IBでは国際的な視野をもった人材育成が目指されており、全人教育や探究学習が重視されています。日本の幼稚園におけるIB導入の歴史は浅いですが、現在IB認定校の一条校幼稚園は全国に7園あり、これから認定校を目指している幼稚園も数多くあります。幼稚園教育要領に「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」が示されていますが、IBにも「IBの学習者像」として「探究する人、知識のある人、考える人、コミュニケーションができる人、信念をもつ人、心を開く人、思いやりのある人、挑戦する人、バランスのとれた人、振り返りができる人」という10項目が示されています。IB認定校の幼稚園では、帰りの会で日直の子どもがみんなの前でその日の振り返りを話す姿が見られ、遊びや活動を通した探究学習を子ども自身が振り返ることで、さらに深い学びを促すような環境設定を行っています。
 国際社会に対応できる人材を育成するためには、幼児期から子ども自身が考え、計画を立て、行動し、振り返る、というサイクルを育むことが必要になります。そして、このような子どもたちを援助する保育者自身も、生涯学習者として子どもたちと共に学び続けていくことが求められるでしょう。