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研究室レター

在留外国人とこども

本多 舞准教授
専門
教育学

最近、新宿や銀座で買い物をしていると多くの外国人観光客を見かけます。外国人にとって、日本は魅力的な旅行先の一つであると共に、日本で働く人々も増えています。一定期間、仕事の関係で日本に住む人や留学生、国際結婚で日本に来る人やその子どもとして日本で生まれ育つ人など様々なケースがありますが、法務省の定義では中長期在留者と特別永住者のことを在留外国人と言います。

日本における国籍別の在留外国人数のトップ5は、中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジルとなっています。また、都道府県別の在留外国人数は東京都が最も多く、愛知県、大阪府、神奈川県、埼玉県と続いており、この状況に伴って保育所でも外国にルーツを持つ子どもたちが増えています。そのため、市区町村は保育所に対して①人員配置等による支援、②ICTを活用した言語的支援、③通常の保育での支援、④就学前支援、⑤人材育成・職員教育、などのサポートを行っています。

東京都で最も在留外国人が多い新宿区では、外国にルーツを持つ子どもには年間300時間、その保護者には2時間の日本語支援サービスを行っています。保育所からのお知らせなどはひらがなを多用し、イラストを入れて保護者が理解しやすいよう工夫しています。  

また、新宿区から各園に1台ずつポケトークと呼ばれる音声通訳機(写真参照)が配布され、日々の保育や保護者との会話の際に使用されています。ポケトークとは、相手の言葉を話せない人同士の会話を可能にする通訳ツールで、新宿区のみならず多くの学校や幼稚園で使用されています。

新宿区内の保育所でお話を伺ったところ、外国にルーツを持つ子どもの保護者は、保育所への送り迎えの際に同国出身の保護者と母国語で話すことが楽しみな人、日本語習得のために日本語しか話したくない人など、様々な考えをもっています。そのため、保育者は言語的支援のみならず家庭の背景や考え方についても把握し、子どもや保護者の思いを理解した上で援助する必要があります。