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研究室レター

お弁当とこども

今井 景子准教授
専門
栄養学
食品学
食育

こどもにとってお弁当は毎日園へ持参するものでも、遠足などの特別な日に持って行くものでもたいへん楽しみなものです。好きなお弁当の中身のナンバーワンは唐揚げだそうです。

幼稚園のランチタイムでは、「今日のおかずは〇〇だよー」とか、「□□ちゃんと枝豆が入っているのが一緒~!」などとお弁当を介した会話が広がります。また、食べ終わると空になったお弁当箱を「先生、空っぽになった」と見せる姿があります。お弁当を全部食べて誇らしい気持ち、何も残っていないお弁当箱を見た先生に「すごいね、たくさん食べたね!」とほめられて嬉しい気持ち、昼食の時間をともだちと一緒に過ごした楽しい気持ちなど、空のお弁当箱にも食を通した経験がたくさん詰まっています。

しばしば話題にのぼるキャラクター弁当(以下、キャラ弁とします)ですが、食べる側のこどもたちはどのように思っているのでしょうか。保育園、幼稚園のこどもたちと保護者を対象に、キャラ弁と普通のお弁当ではどちらを食べたいか?という調査を行いました。中身とお弁当箱は全く同じで、一方はごはんとおかずを詰めたもの、もう一方はアンパンマンを形作ったキャラ弁にしました。
 結果は全体で64%のこどもがキャラ弁を食べたいと回答しました。内訳を年齢別でみると3歳児78%、4歳児65%、5歳児46%でした。年齢が大きくなるに従い、キャラ弁を食べたいとする割合が低くなりました。お弁当を選んだ理由には、3歳児ではアンパンマンが好き(だからキャラ弁を選んだ)、5歳児になるとアンパンマンはこどもっぽい、食べると顔が崩れるのがいや(だから普通のお弁当を選んだ)などが見られました。食べる途中でどう形が変わるかを想像できるというのは、日頃からお弁当を食べることに真剣に向き合っていることの表れです。作る人には無い発想ではないでしょうか。ある意味、お弁当を食べることのプロフェッショナルといえましょう。
 その子どもの喜ぶお弁当を作るにはどうしたらよいでしょうか。キャラクターの有無も含めて、何が食べたいか、どのようにしたらうれしいかを聞いてその意見を反映すると楽しみも倍増することでしょう。その中には嫌いなものをどうしたら食べられるかのヒントがあるかもしれません。

ハロウィンにはお化けの形に作られたお弁当を良くみかけます。「開けてびっくり!」おどろおどろしいお化けが出てくるサプライズも楽しいかと思いますが、食べるこどもの立場から喜ばれるものであって欲しいと思います。