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研究室レター

歌とこども

葛西 健治准教授
専門
音楽(声楽)

 こどもたちは、「歌うこと」をどのようにとらえているでしょうか。
 大人はついつい、演奏(パフォーマンス)としての良しあし(他者からの評価)を気にしてしまいますが、こどもたちは「歌うこと」、それ自体をめいっぱい、心から楽しんでいます。つまり、こどもたちにとって歌は「遊び」そのものなのです。「遊び」に他者の評価は無用!「遊び」の目的はただ一つ、自分自身がめいっぱい楽しむことです。
 もちろん、リズムも音程も正しく、保育者の伴奏と響き合いながら「上手に歌える」ようになれば、ある種の満足感や達成感は得られることでしょう。しかし、「歌うことの楽しさ」を知らないまま、ただただ「上手に歌える」ようになっても、果たしてこどもたちは幸せでしょうか?私には、そうは思えません。歌をめいっぱい楽しむ、歌で遊べるチカラが根っこにあってこそ、上手に歌えたときの真の喜びを、こどもたち自身が心から実感できるはずです。

 歌・音楽の「指導力」を育成するよりも前に、改めて、歌・音楽を楽しむチカラを引き出してあげたい、また、こどもの歌の持つ遊びの可能性(おもちゃとしての意義や価値)を理解し、それを引き出そうする姿勢を身に付けてほしい…。そのような思いを持ちながら、私は本学の音楽教育に取り組んでいます。

わが家の歌手(0歳9か月(当時))