子どもの男の子らしさ・女の子らしさは何歳頃から育っていくのでしょうか?そもそも性別による違いは、生物学的な性(セックス)だけでなく、社会的・文化的に形成された性(ジェンダー)が複合的に影響して形成されるものとされています。実際、子どもは3歳頃になると、8割近くが自分の生物学的な性(セックス)を自らの性別として認識し、ジェンダーに合致するとされているさまざまな特性を身につけはじめているといわれています。
ジェンダーは、社会的な影響力のもとに育つと考えられています。特に、子どもの生活時間の大きな部分を占める幼稚園・保育所・こども園など幼児教育の場には、男女別名簿、持ち物の色などに性別ごとの区別や、保育者や子ども同士といった人と人のかかわりの中にも男女を区別したり差異を持たせたりする事例が多々あります。
このような区別や差異には、必ずしも性別による違いや役割を決めつけようとする意図はないでしょう。しかし、子どもの性別への認識や固定的な性別らしさや性別役割を伝達する結果に結びついている可能性は考えられます。このように教育する側の意図に関係なく、子ども自らが学びとっていくことがらは「隠れたカリキュラム」と呼ばれ、ジェンダーを形成する力のひとつとされています。学校教育の中では、教科書の記述内容や、ジェンダーレスの制服や水着が導入されることなど、「隠れたカリキュラム」を克服しようとする取り組みが続けられています。
保育所や幼稚園等ではどうでしょうか。これらの保育の基本となる考え方が示された「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」において、「子どもの性差や個人差にも留意しつつ、性別などによる固定的な意識を植え付けることがないようにすること」と定められています。しかし、体系的な取り組みは小中学校と比較するとこれからという部分が大きいようです。
これからジェンダーを育てていく子どもに、どのような経験や情報を提供していくのか、親や保育者が自分自身に問うことがまず求められる時代といえるでしょう。下記に、ジェンダーを見直したり、多様な性のあり方について考える材料となる絵本をご紹介します。親や保育者と子どもたちがこのテーマについて共有し、一緒に考えていくことが子どものジェンダーの育ちを支援していくことの第一歩となると考えられます。
<ジェンダーや性の多様性について触れられる絵本>
「ぼくは赤ちゃんがほしいの」童話屋
「ぼくのママはうんてんしゅ」福音館書店
「タンタンタンゴはパパふたり」ボット出版