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研究室レター

戦争とこども

西脇 二葉准教授
専門
教育学

戦争という言葉は、人々に様々な感情を呼び起こすでしょう。それは破壊と苦難の時代の象徴であり、特にこどもたちにとっては、その影響は深刻です。戦争時には、こどもたちは多くの危険やストレスにさらされます。日本もかつては常時戦争をしている国でした。特に最後の戦争である第二次世界大戦では、本土が焦土化する未曽有の出来事となりました。その時、こどもを集団で預かる保育者という立場にいた人たちは、こどもたちが安心して成長できる環境を提供するために、日々奮闘を続けなければなりませんでした。 

戦争が激化すると、幼児のみの集団疎開が必要になりました。これは非常に困難な状況であり、こどもたちと保育者にとって試練の時でした。その史実を基にした映画があります。戸田恵梨香さん主演の「あの日のオルガン」はもうご覧になりましたか。まだの方はぜひご覧ください。この映画の中で、保育者はこどもたちを守り、安全な場所に避難させるために全力を尽くします。集団疎開では、こどもたちの日常生活が大きく変わりますが、保育者は彼らのニーズを最優先にし、教育と遊びの機会を提供しようと努力します。

こどもにとって最悪の生育環境となる戦争を二度と起こさないように、私たちができることは何でしょうか。忘れないこと、ということが一番の方法かもしれません。平和とは忘れてはいけない過去の上にあるのです。

疎開現場となった妙楽寺 2022年11月筆者撮影