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研究室レター

「入園」とこども

青木 弥生教授
専門
発達心理学

保育所や幼稚園・こども園への入園は、子どもにとって家族を離れての集団生活の始まりであり、保護者の心配は尽きませんですが、年齢によって心配の様子は異なるようです。0~1歳頃の乳児期(保育園またはこども園の乳児クラス)の入園では、保護者と離れて生活することが子どもの思いに反していたり、育ちへの影響が心配される一方、幼児期(3歳以上)の入園では、保護者から離れて集団生活にスムーズに入れるか心配する声をよく聞きます。

乳児期の子どもにとって、信頼する大人との関係形成はその先の自立の基盤として非常に重要で、保護者は最初の信頼関係を結ぶ相手になります。信頼関係は、子どもの思いや要求、時には不安に適切に応えることを繰り返すことで形成されますが、保護者だけでなく祖父母、保育所やこども園等の保育者など、適切な応答をしてくれる複数の大人と結べることがわかっています。つまり、乳児期の入園は保護者に次ぐ他者と信頼関係を形成し、自立の基盤を作っていくためのスタートということになります。

一方、幼児期の入園では保護者と信頼関係はしっかり形成されています。そのため、入園当初は幼稚園生活に不安の表出に個人差はあったとしても、不安は保護者との関係がしっかりできているが故の反応であり、いずれは保護者との間に築いてきた信頼関係を心の支えに少しずつ園生活を楽しむことが出来るようになります。

乳児期・幼児期どちらの入園であっても、保育者は子どもの「信頼関係」の状態をみとりながら適切にかかわり、保護者の心配に向き合いながら子どもの状況を共有し、支援していきます。本学は、そのような専門性を備えた実践力を持った保育者を輩出することを目標としています。