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私が保育学生の頃、加藤繁美先生の『子どもと歩けばおもしろい』(ひとなる書房)という一冊の本に出会いました。子どもの発する言葉がそのままエピソードとして記載されており、この本を通して、子どもの想像する世界の不思議さや面白さを感じたことを今でも覚えています。
その後、私は保育者として働き始めるわけですが、そこでは “本当にこんなこと言うんだ!”“子どもって面白い”と多くの子どもの想像の豊かさに触れ、心が動かされる毎日でした。花壇の前でしゃがみ込む子に声をかけると「チューリップとお話ししてるの!」と言う返事が返ってきたり、「お豆腐って何からできているか知ってる?正解は消しゴムだよ!」と真顔でクイズを出してくる子がいたり、思わず笑ってしまいそうな出来事で溢れていました。
子どもは生活の中で様々な事象と出会い、多様な経験をする中でイメージを心の中に蓄積し、それらが組み合わさっていろいろなものを思い浮かべる想像力となります。大人はついつい現実を意識しがちですが、時に子どものように想像する世界を楽しむのも良いでしょう。例えば絵本を読んで想像力を膨らませるのも良いでしょう。『お月さまってどんなあじ?』(マイケル・グレイニエツ文・絵,らんか社)は、お月さまの味が知りたくて、食べてみようと動物たちが協力し合うお話しです。皆さんはお月さまってどんな味だと思いますか?