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~ 生後3か月までの視覚・運動発達と、手の発見 ~
皆さんは、最近、赤ちゃんを見たことはありますか。「赤ちゃんがとてもかわいらしくて大好きだから保育士になりたい」という人もいると思います。
写真1のような生後すぐの赤ちゃんは、まだ目で何かを追うこともできなくて、目が開いていても見えていないのではと感じるかもしれませんね。生後1ヶ月の赤ちゃんの視力は0.02程度という研究1)があり、目が見えていないわけではありません。しかし視覚以外の身体各部も含めて未発達であり、赤ちゃんの反応が感じられにくいかもしれません。生まれて間もない赤ちゃんは、目の前の物が見えていても、まだ目を上下左右に自在に動かしてその物を追ってみること(追視)等も十分にはできない状態です。
写真1 生後3日目の姿
写真2のように生後83日になると、手を動かしてその手を見つめていますね。ある程度の視力の発達(生後3か月で0.1程度という研究1)があります)と合わせて首、そして手等の自分の身体を動かす力が備わってきたことで、偶然視界に入った自分の手を見て、「これはなんだろう?」と“手を発見”している姿(ハンド・リガード)が出てきます。このように自分の身体イメージが形成されていきます。皆さんも生まれながらにして自分の身体を思いのままに動かすことができたわけではなく、こうして少しずつ自分の身体を“発見”していくことでだんだんと育っていったわけです。
写真2 生後83日目の姿
ハンド・リガードが見られる時期になると、写真3のように周りの大人が持ったおもちゃや人等、興味のある対象を少しづつ追視できるようになります。赤ちゃんの気持ちがそれまでよりもよく一層わかりやすくなることでしょう。しっかりと楽しく赤ちゃんと関わってほしいと思います。
写真3 生後90日目の姿
参考文献1)山口真美・金澤創『赤ちゃんの視覚と心の発達 補訂版』東京大学出版会