
皆さんは、幼稚園や保育園等でいつもいっしょに遊んでいた友だちのことを覚えていますか。その頃、何をして遊んでいましたか。
「竹馬之友(ちくばのとも)」という言葉は、中国での故事や由来はさておき、幼ない頃からの親しい友だちを意味します。ここで言われる竹馬は、馬の頭を先端につけた竹の棒にまたがって遊ぶもので、日本では「串馬」や「春駒」と呼ばれる伝統玩具です*。この故事成語から、昔の中国では、竹馬が友だちのつながりを作る代表的な遊戯だったことがわかります。
特定の遊びの名称を伴って「幼なじみ」を意味する語句は、古代のインドにもありました。それは、直訳すると「いっしょに泥んこ遊びをした仲」という言葉です。初期仏教や上座部仏教の書物には、王族の息子(王子)と庶民階級のこどもや宗教者(バラモン階級)のこどもたちが「いっしょに泥んこ遊びをした仲(=幼なじみ)」として、大人になっても身分を越えて友情を確かめ合うといったエピソードが見られます。
泥んこになって遊べば、みんな同じ。きれいな手足や顔や服が泥だらけで互いの見わけもつかなくなっていくうちに、遊び相手との意識の壁や距離も消えてしまうのでしょう。古代のインド人は、この泥んこ遊びに年齢や公的な立場や社会的な関係すらも越えるパワーを感じとっていたのかもしれませんね。
こどもの頃に我を忘れて熱中した遊びを思い出してみると、そこには楽しい日々をいっしょに過ごした友だちの姿が浮かんでくるはずです。皆さんもぜひ自分自身の懐かしい記憶とともに、遊びを通して育まれる友情や人間関係の大切さを再確認してみてください。
*富山県の利賀村では、こどもたちが新春に家々を回り、わらを編んだ春駒を使って祝辞を唱え舞う初午の祭が今も伝承されています。